〜長谷川奈津陶展を前に〜
長谷川さんの個展は穂垂では約10年ぶり2回目になりますが、2回目を開催するのにまさかこんなにも長い年月を要するとは思いませんでした。
1回目の開催に漕ぎつけるまでにもずいぶんと時間を要した記憶がありますが、2回目に至るこの長い道のりは全く想定外でした。それには様々な理由があり、ここまで来るのは私としても容易なことではありませんでしたが、途中ご家族の介護やご自身の肩の故障などご苦労を重ねてこられた長谷川さんにとってはより険しい道のりだったかもしれません。
今回改めて振り返ってみて気づいたのですが、穂垂をオープンしたのがちょうど2001年の5月1日だったので、第2回長谷川奈津陶展は図らずも穂垂にとっては記念すべき20周年展ということになります。時間の観念が著しく希薄な私にとっては、それは全然重要なことではありませんが(今そのことに気づいたぐらいですから)、紆余曲折を経て最終的にこの日程に落ち着いたことは神様からの贈り物だったのだと都合の良い解釈をしておこうと思います。
手前味噌な前置きが長くなってしまいましたが、いよいよ長谷川さんの個展です。折を見て作品の入荷はありましたが、まとまった作品点数を見られる機会は本当に10年ぶりになります。壺などの彫刻的ともいえる美しいフォルムはぽってりとした釉薬で輪郭が程よくぼかされ、見るものに程よい緊張と安らぎを与えます。碗や鉢の見込みの滑らかな曲線は料理を優しく受け止め、私たちの目と舌をいつも満足させてくれます。
過剰な表現を好まず、普遍的な美しさをやきものの中に一貫して追求してこられた長谷川さんの今の到達点を見る貴重な機会となります。
コロナ禍で長谷川さんの在廊はなくなりましたし、だれしもが出歩きにくい状況に変わりはありませんが、GWのオープンデイ3日間とその後立ち上げますオンライン展にて長谷川さんの作品を少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。
店主
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